建設業許可の申請では、営業所の要件を満たしているかどうかが必ず確認されます。「事務所らしきものがあれば大丈夫だろう」と考えていると、申請の段階で指摘を受けることもあります。今回は、建設業許可でいう営業所の考え方と、認められるための要件について整理します。
1、建設業法でいう営業所とは
建設業法上の営業所とは、本店や支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことを指します。単に建設業に関する何らかの業務を行っているだけの場所は該当せず、請負契約の見積り、入札、契約締結などを実際に行っている場所であることが必要です。
そのため、資材置場や作業員の詰所、単なる登記上の本店だけで実態のない場所などは、原則として営業所には該当しません。
2、営業所として認められるための主な要件
営業所として認められるには、一般的に次のような点が確認されます。
外部から来客を迎え入れ、請負契約の締結などの業務を行える場所であること
事務所としての形態が整っていること(机、椅子、電話、事務機器などの設備があること)
居住スペースなど他の用途の空間と、明確に区分されていること
その場所を継続して使用する権限を有していること(自己所有または賃貸借契約など)
経営業務の管理責任者または一定の権限を持つ者、および専任技術者が常勤していること
3、営業所の確認資料として提出するもの
申請の際には、営業所の使用権限と使用実態の両面について、確認資料の提出が必要です。
使用権限に係る確認資料
自社(個人事業主)所有の場合は、不動産(家屋)の登記簿謄本(原本、3か月以内のもの)を提出します。
賃貸の場合は、営業所の賃貸借契約書や使用承諾書等を提出します。
使用実態に係る確認資料
営業所の形態が確認できる写真を提出します。撮影が必要な箇所は次のとおりです。
営業所の建物外観
入口付近
看板(屋号がわかるもの)
ポスト
営業所の事務室や応接室等の内部
このほか、営業所にする建物の平面図もあわせて提出します。自宅を営業所とする場合の平面図については、後ほど詳しくご説明します。
4、賃貸物件を営業所とする場合の注意点
賃貸物件を営業所とする場合は、賃貸借契約書で使用権限を証明します。このとき、実務上よく問題になるのが次の2点です。
契約書に仲介した宅地建物取引士の押印があるか
契約書の使用目的が事業用になっているか
契約書の使用目的が居住用となっている場合は、そのままでは営業所として認められません。この場合は、貸主から別途、事業用としての使用を認める使用承諾書を作成してもらう必要があります。使用承諾書の様式は自由ですので、貸主に事情を説明して協力を得ることになります。
賃貸物件で営業所を検討している場合は、契約前の段階で使用目的を事業用にできるか確認しておくと、後の手続きがスムーズです。
5、自宅を営業所にできるか
個人事業主の方や小規模な法人の場合、自宅の一部を営業所として申請したいというご相談は多くあります。自宅を営業所とすること自体は可能ですが、居住スペースと事業用スペースを明確に分けることが前提になります。
区分の方法としては、パーティションで区切る方法もありますが、もっとも確実なのは部屋そのものを分けることです。一部屋をまるごと営業所として使う形にできれば、区分がはっきりして確認もスムーズに進みます。
また、営業所の入り口ドアには「営業所」と表示しておきます。あわせて、建物の入り口(玄関)から営業所の部屋までの経路が分かる写真も求められますので、動線に沿って順番に撮影しておきましょう。
さらに、建物内のどこに営業所の部屋があるのかを示す平面図も必要です。玄関から営業所までの経路が分かるように記載します。この平面図は手書きで問題ありませんので、間取りと動線が伝わるように書けば十分です。
6、営業所の写真を撮る際のポイント
写真は撮り直しが発生しやすい部分です。次の点に注意して撮影してください。
写真に必ず写っていなければならないもの
パソコン
電話機・FAX
事務机
椅子(来客用を含めて最低2脚)
キャビネット等の書類保管設備
写らないようにするもの
事業に関係のない私用の備品は、写真に入らないようにします。ピアノ、ぬいぐるみ、洗濯物などが写り込んでいると、営業所としての実態を疑われる原因になります。撮影前に一度、部屋全体を見回して片付けておくことをおすすめします。
看板やポストは撮り忘れが起こりやすい箇所です。現地に行った際に、必要な箇所をまとめて撮影しておくと二度手間を防げます。
7、営業所を移転した場合は届出が必要
営業所の所在地を移転した場合や、営業所を新設、廃止した場合は、変更届の提出が必要です。届出を怠ると、実態と許可内容が食い違った状態になってしまうため、移転が決まった段階で早めに手続きの準備を進めることをおすすめします。
まとめ
建設業許可における営業所は、実際に請負契約に関する業務を行える実態があるかどうかが重要です。自宅を営業所にできるか判断がつかない、写真や書類の準備方法を相談したいという場合は、お気軽にご相談ください。